バイヤーとは

「バイヤー」とは、英語で書くと、「BUYER」。buyする(買う)人のことですね。

何を買うのかというと、売り場に必要なものを買ってきます。

なので、雑貨の売り場なら雑貨を買ってくるバイヤー、

食品売り場なら食品のバイヤー、

服の売り場なら、洋服を買ってくるバイヤー、など、

売り場の種類だけ、バイヤーの種類があります。


種類としては、セレクトショップの場合、数点づつ「買ってくる」仕事だけをする人と、
マーチャンダイザー(MD)=商品部の仕事の中で販売の計画を立てながら
その計画に必要なものを、必要な分買ってくることを仕事にしています。

とはいえ、そんな堅苦しい
就職活動のMDの説明をしてもしっくりこないと思いますので、
核となるどんな考え方が、バイヤーなのか、というところをお話ししてみます。


目次

バイヤーってなんだろう?

物心ついた時から、バイヤーという人種が周りにいました。
父の仕事は花業界の輸入元で、花を活けるデザイナーや卸のバイヤーと海外の展示会に行き、
彼らの選んだ花器をやアレンジに使う材料や花を、来年の母の日のアレンジの為に輸入するんです。


父は3カ月おきに海外に行き、生産と出荷、検品に立ち会い、日本に輸入。
そんな父のお客さんはバイヤーで、私は大学の頃から父の仕事の手伝いをしていました。
花業界だけでなく、雑貨屋の問屋のバイヤーなどもいて彼らの買い付けに付き合って展示会をぶらぶらしていたことを思い出す。

一緒に買い物みたいに可愛いものを見つけて あれが可愛いこれが素敵だとみていたバイヤーは
ただの買い物客そのものだったのに、
さて今回はどれを買うのという話になるや、
突然この上なくダサいとまでは行かないが今更べつに要らないもの、を選び出したんです。

さっきまであんなにおしゃれなものを見つけていたくせに、急になんなんだ。
あの感性はどうしたんだ、と思った。あれを何故発注するんですか。あれが、欲しいものなんですか。さっきの可愛いのは買わないんですか。と、びっくりして私は聞いてみました。

殆ど大学生の私からの素人な質問に返された答えはバイヤーは、
”自分が欲しいものを買うのではなく、人が欲しい物を買うのが仕事だよ”であった。
あなたが欲しいものを買ってはいけない。みんなが欲しい物を買うのだよと。

あんなに既視感のある、すでに日本にあるものは、みんなが欲しいものなの?
さっきまでおしゃれなやつ、ごまんとあったじゃないか!と、
私はびっくりしたし、無性に腹が立ってしまったのだ。

こんなに見たことのない感性のものが海外には沢山ある。
それを紹介できるのはバイヤーだけで、彼らの働きで日本の店に並ぶものがきまるのだ。
ということは
日本につまらない、ユニークな商品を店頭でみないのは、
売れるかわからない”新しいもの”を仕入れない バイヤーの買い付けのせいじゃないか、と。

外国には楽しい商品がたくさんあるのに日本での買い物がつまらない理由は日本人のバイヤーの買い付けのせいなんだ。

と、日本人のバイヤーは、罪深すぎると思ったんです。

まだみたことのない買い物の可能性って実はこんなにひろい。
なのにそのお買い物の楽しさを提供してくれないのは、バイヤーのせいだったんだとつくづくがっかりしてしまった。

お買い物が大好きで東京で暇な時はぶらぶらしてるわけですが、外国にいくといくらでも買い物が楽しいのに、日本で見たことの無いものなんか無く買い物がつまらなかった一番の理由は、
バイヤーのつまらない買い付けのせいだったからだと思ったわけです。

売ってみないと売れるかどうかわからないじゃないか、と思っても
売ったことがないものは買い付けに慎重になる。
それは 日本人らしい性質なのかもなあと思いつつ、私は父のお客さんのバイヤーを
とても小馬鹿にしました。

世の中の人にはおしゃれなものは届かない、少しダサいものが丁度良いのだと言っていたこと。
自分が良いと思うもの、売ってみたことあるんですか、と聞いたらないって言われたこと。
売ってみたことがないのに売れないってなんでわかるんだろうと思ったこと。

それでも思ったんです、
<売ってみたい。馬鹿にされても。売りたいものを売ってみたい、と。>

売ったことがないものは、本当に売れないのだろうか?
店にあったらその店は楽しくなるのではないかと。

猛然と父親に腹が立ったこの話をしたところ、
そんなに言うなら自分で買い付けしてみたら、その滞在中に発注してこいと言われました。
自分で仕入れて、金に変えてこい、と。

あれよあれよでいつのまにか私はバイヤーを始めてしまったんですよね。
これが私の仕事のはじまりでした。

**

こうして仕入れをすることになり、バイヤーという物を体験することになりました。
この仕入れで買い付けた商品を、
まずはネットで売り始めたことで、本当に試行錯誤だった。
当時はまだヤフオク全盛期の2002年。

ネットショップが、「怪しげなものだ」と思われていたから、ネットで販売する事への風当たりもすごかったんです。
「ネットでなんか売れない」って、と何回馬鹿にされて笑われてきただろう。
でも、どんなに笑われても、売ってみないと、売れるかどうかはわからないじゃないか、という思いは強まりました。

バイヤーの仕事を始めた頃は、そういう「もやり感」が原動力となり
この仕事を始めました。

「売ってみたい」がまず無いとこの仕事は 成り立たないのです。

売り場を作って商品を売る<絶対的価値と相対的価値>

売る為には実のところその商品の力だけではなく、売り場の中での布陣に依る部分も大きい。
「どんな売り場で何を売るのか」。


例えばたくさんの美人がいたとする。

全員同じ雰囲気の綺麗めの美人が揃ってるグループより、
綺麗め、可愛い、清楚で大人しい、面白い、などキャラ立ちがはっきりしているグループの方が、
ひとりひとりを把握しやすいし、一人一人を覚えやすい。

売り場も同じで、キャラの整理をしたうえで売り出すものが1番目立つ布陣にし、
引き立て役を用意して普通なものを売りに行ったりする。
高い物を引き立て役にして、普通なものを相対的によく見せる。

商品は、絶対的価値だけじゃない。
相対的価値でも評価される。
売り場でそれをするんだ、と私は思う。
あってるかは知らないけれど、
これが 20年弱この仕事をしてきて、体験してきたことだ。

こういうと語弊があるが、 売れなくて良い商品はある。
その商品で売り上げを取るんじゃない。
売り場に必要な商品だから並べるのだ。
その商品は売り場に箔をつけるためのもの。
売り場に彩りを与えるためのもの。

そういう、売り上げを作らない、売れては困る商品というものもある。
でも、こういう考え方ひとつとっても、バイヤーによって様々。
売れなくて良い商品なんて、あるわけがない、と言う人もいる。
売ってみないとわからないなんて無責任、という人もいる。
売れなきゃ売れないで笑われたりもする。
商品の選び方だけで喧嘩になったりもするし、
私が売った商品を真似してそっくりなものを買ってくるバイヤーももちろんいる。
足を引っ張ってくる人もあたりまえにいる。
そして 喧嘩になったり張り合ったりもする。

それでも、やめられない。
楽しくて仕方がないんだもの。

**

商品はある意味絶対的価値で売れるけど、相対的に 「それを買う」というゴールに向かって
誘導されていっているはずだ。

商品の絶対的な価値を見出して商品の絶対的価値を伝えながら、
同時に売り場では他の商品たちとの布陣を利用して相対的にも売っていく。
これが、バイヤーの仕事だ。
いつになったら辞められるんだろうか、と思うくらい 息をするくらい当たり前にこの仕事をしてきた。
止める時があるかはわからないけど、
あの人がやると、必ず売れる売り場になる、と言われたい。
売れるときの気持ちよさ。
売り場を作れている時の嬉しさ。
そんな中毒性が本当にやめられない。

これが バイヤーという仕事なのだ。


ブログランキング・にほんブログ村へ
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる